(文責)座長:村田 武一郎
今回は、これまでの分科会等により得られた情報をもとに作成した「医療・福祉政策への提案(案)」を紹介し、議論を行った。
1.医療・福祉政策への提案(案)
施策の目標を「ライフサイクルを通じて安心できる・満足できる医療・福祉サービスを提供する奈良県を創る」とし、下記の4つの方針と16項目についての提案(案)を紹介した。
方針-1.ライフサイクルと医療・福祉サービスの体系化を図る。
1ライフサイクルと医療・福祉サービスの体系化
2医療受給満足度調査の実施
3医療計画への住民・県民参加
4診療記録の共通化・共有化と迅速な治療および患者負担の軽減
5有能で思いやりがある看護師・介護福祉士の確保
6コミュニティの人的つながりを促進する「コミュニティ・カフェ」づくりの支援
7地域で暮らし続けられる社会の仕組みづくり
8NPO・ボランティア等による子育て・障がい者・高齢者生活サポート活動の支援
方針-2.県民のコンセンサスを得て、新しい医療体制の整備を行う。
1県民に信頼される中核医療機関の整備
2既存の民間病院・診療所との協力関係づくり
3特殊な医療への対応を行う最先端の医療機関とのネットワークの構築
4プライマリーケアの充実(いつでも診てくれ、相談に乗ってくれる医師の育成)
5複数の専門診療所のネットワーク形成とネットワーク拠点の立地に対する支援
方針-3.中核医療機関を中心としたまちづくりを行う。
中核医療機関を中心としたまちづくり
方針-4.職場・地域・自然が連携した健康開発システムづくりを行う。
1職場におけるストレス・疲労調査の実施と対応策の実行
2職場・地域・自然が連携した健康開発システムづくり
2.総合討論
上記に関連し、活発な意見交換が行われた。以下に、いくつかを紹介する。
1診療記録の共通化・共有化について
これには、法的・経済的な問題が残る。法的には、医療分野における個人情報保護の問題がある。経済的には、各医療機関が個別に情報システムを導入しており、これを情報共有のための新システムに変えるためには相当の金銭的負担が発生する。日本医師会が医療機関において共通に使えるソフトを開発しているが、導入が進んでいない。このような問題をブレークスルーするための努力が求められる。
2コミュニティ・カフェづくりについて
奈良県は、今年度、各市町村が小学校区ごとに交流施設を設置することを助成する予定であり、それが効果を発揮することを期待するものである。なお、当面は小学校区にひとつであるが、将来的には、500?1,000人の居住区(即ち、高齢者が歩いて行ける範囲)単位にひとつの「コミュニティ・カフェ」ができることが望ましい。
3地域で暮らし続けられる社会の仕組みづくりについて
各地域の先導的事例を参照しつつ、自宅で介護する人の疲労軽減のためのシステムづくり、介護の仕方・食事の内容などに関する適切な情報提供も含めて、「奈良方式」を構築していくことが必要である。
4新しい医療体制の整備について
医療に関する奈良県の役割を論ずるにあたって、疾病の評価が欠かせない。1次医療(診療所)で対応可能な疾病、2次医療(病院)で100%治療できる疾病、その分野のエキスパートがいなければ対応できない3次医療(拠点病院)が必要な疾病の検討を行う必要がある。
5特殊な医療への対応を行う最先端の医療機関とのネットワークの構築について
従来、より高度で専門的な医療機関へと患者さんを送るネットワークは、医師個人の人的つながりによって、かろうじて構築されているが、これを公的機関にコーディネータを配置して行うことができないだろうか。コーデネータは、あらゆる情報を収集・把握し、適切な医療機関を見つけ、搬送の手続きもとるようなことが望まれる。
※総合討論の内容を勘案し、必要な修正を行い、第4回総合フォーラム(10月1日)で、政策提案(案)を発表することとなった。
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次回予告
第4回総合フォーラムを下記のとおり開催いたします。ぜひ、ご参加ください。
日時:10月1日(土) 12:45開場-17:15
会場:奈良県立大学3号館2階ホール
内容:奈良の将来ビジョン(第2次)の提案/総合討論-参画と「共働」により奈良の将来を築こう