ビジョン奈良 奈良の将来ビジョンをつくるフォーラム
 

第3回医療・福祉分科会(2011年9月10日)の概要

(文責)座長:村田 武一郎

今回は、これまでの分科会等により得られた情報をもとに作成した「医療・福祉政策への提案(案)」を紹介し、議論を行った。

1.医療・福祉政策への提案(案)
施策の目標を「ライフサイクルを通じて安心できる・満足できる医療・福祉サービスを提供する奈良県を創る」とし、下記の4つの方針と16項目についての提案(案)を紹介した。
方針-1.ライフサイクルと医療・福祉サービスの体系化を図る。
1ライフサイクルと医療・福祉サービスの体系化
2医療受給満足度調査の実施
3医療計画への住民・県民参加
4診療記録の共通化・共有化と迅速な治療および患者負担の軽減
5有能で思いやりがある看護師・介護福祉士の確保
6コミュニティの人的つながりを促進する「コミュニティ・カフェ」づくりの支援
7地域で暮らし続けられる社会の仕組みづくり
8NPO・ボランティア等による子育て・障がい者・高齢者生活サポート活動の支援

方針-2.県民のコンセンサスを得て、新しい医療体制の整備を行う。
1県民に信頼される中核医療機関の整備
2既存の民間病院・診療所との協力関係づくり
3特殊な医療への対応を行う最先端の医療機関とのネットワークの構築
4プライマリーケアの充実(いつでも診てくれ、相談に乗ってくれる医師の育成)
5複数の専門診療所のネットワーク形成とネットワーク拠点の立地に対する支援

方針-3.中核医療機関を中心としたまちづくりを行う。
中核医療機関を中心としたまちづくり

方針-4.職場・地域・自然が連携した健康開発システムづくりを行う。
1職場におけるストレス・疲労調査の実施と対応策の実行
2職場・地域・自然が連携した健康開発システムづくり


2.総合討論
上記に関連し、活発な意見交換が行われた。以下に、いくつかを紹介する。

1診療記録の共通化・共有化について
これには、法的・経済的な問題が残る。法的には、医療分野における個人情報保護の問題がある。経済的には、各医療機関が個別に情報システムを導入しており、これを情報共有のための新システムに変えるためには相当の金銭的負担が発生する。日本医師会が医療機関において共通に使えるソフトを開発しているが、導入が進んでいない。このような問題をブレークスルーするための努力が求められる。

2コミュニティ・カフェづくりについて
奈良県は、今年度、各市町村が小学校区ごとに交流施設を設置することを助成する予定であり、それが効果を発揮することを期待するものである。なお、当面は小学校区にひとつであるが、将来的には、500?1,000人の居住区(即ち、高齢者が歩いて行ける範囲)単位にひとつの「コミュニティ・カフェ」ができることが望ましい。

3地域で暮らし続けられる社会の仕組みづくりについて
各地域の先導的事例を参照しつつ、自宅で介護する人の疲労軽減のためのシステムづくり、介護の仕方・食事の内容などに関する適切な情報提供も含めて、「奈良方式」を構築していくことが必要である。

4新しい医療体制の整備について
医療に関する奈良県の役割を論ずるにあたって、疾病の評価が欠かせない。1次医療(診療所)で対応可能な疾病、2次医療(病院)で100%治療できる疾病、その分野のエキスパートがいなければ対応できない3次医療(拠点病院)が必要な疾病の検討を行う必要がある。

5特殊な医療への対応を行う最先端の医療機関とのネットワークの構築について
従来、より高度で専門的な医療機関へと患者さんを送るネットワークは、医師個人の人的つながりによって、かろうじて構築されているが、これを公的機関にコーディネータを配置して行うことができないだろうか。コーデネータは、あらゆる情報を収集・把握し、適切な医療機関を見つけ、搬送の手続きもとるようなことが望まれる。

※総合討論の内容を勘案し、必要な修正を行い、第4回総合フォーラム(10月1日)で、政策提案(案)を発表することとなった。

*******************************************

次回予告
第4回総合フォーラムを下記のとおり開催いたします。ぜひ、ご参加ください。
日時:10月1日(土) 12:45開場-17:15
会場:奈良県立大学3号館2階ホール
内容:奈良の将来ビジョン(第2次)の提案/総合討論-参画と「共働」により奈良の将来を築こう

 

第3回医療・福祉分科会

日時:9月10日(土)14:00-17:30
内容:医療・地域への提案(概案)
会場:奈良県立大学3号館2階ホール

第3回医療・福祉分科会案内チラシ.pdf
 

第2回医療・福祉分科会(2011年8月6日)の概要

(文責)座長:村田 武一郎


1.はじめに
今回は、アドバイザーに山田眞一先生(医療法人善真会理事長)をお迎えし、「高次・特殊医療の必要性と医療ネットワーク」(米村豊NPO腹膜播種治療支援機構理事長)、「地域で暮らし続けられる社会の仕組みづくり」(立松麻衣子奈良教育大学准教授)の提案をいただき、議論を行った。

2.医療・福祉政策への提案
2-1.高次・特殊医療の必要性と医療ネットワーク
米村豊(NPO腹膜播種治療支援機構理事長)
静岡県立静岡がんセンターの企画段階から関わり、副院長を務めた経験を踏まえると、奈良の中核医療施設は、20年後にも通用する「世界一の高度医療施設」の整備を目指すべきであり、1.患者さんの心がわかる医療スタッフの採用・訓練、2.最先端技術を持っている医師の採用、3.インターネット(日本語+外国語版)の充実、4.新しい臨床治験を持ってこられる医師の採用、5.国際的評価を受けた医師・外国語が堪能なスタッフをもつインターナショナル・ホスピタルの設置が必要であり、病院経営の観点からも考える必要である。静岡がんセンターでは、医療相談はもとより、金銭的な相談、医師へのクレームも受付ける「よろづ相談センター」、当時としては珍しい50床をもつ緩和医療センターなどを設置し、「患者さん本位の高次医療」を進めてきた。なお、がん患者全体の15%が「もっと良い医療を求めて彷徨っている難冶性・複合疾患をもつ医療難民」となっており、中核医療施設とは別途に、この人たちへの特殊・高次医療対応病院が必要である。
2-2.地域で暮らし続けられる社会の仕組みづくり
立松麻衣子(奈良教育大学准教授)
高齢者が地域での生活を継続できることを保障する必要がある。このためには、1.自宅で生活をしている高齢者の生活の障がいになっていることを把握し、その障がいを取り除き、自宅で生活する期間を長くする、2.自宅で生活している人に介入することによって、施設に生活の場を移さなければならない人数を減らす、3.介護が必要になっても「その人らしく生きる」ために、人とのつながりを支える、4.今後、インフォーマルケアの労働力として家族を想定することは難しくなるため、地域の力を活用したケアがより一層求められる、5.フォーマルケアとフォーマルケアの狭間をインフォーマルケアで埋め、「その人らしく生きる」ことを支える、6.最期の場所や方法を選ぶことができる選択肢のある地域、「この地域で最期を迎えられてよかった」と思える地域をつくる必要がある。7.誰もが住みなれた地域で暮らすためのケア・ネットワークをつくることが必要である。なお、子ども向け書道教室、英語教室、菜園づくりなどにより、地域の人たちが「あたりまえに施設へくる」という関わりづくりを進めている特別養護老人ホームがある

3.総合討論
寄せられた政策提案の紹介、議論のためのポイントの紹介の後、活発な意見交換が行われた。以下に、いくつかを紹介する。
1.奈良においてはどのような規模・水準の医療施設を整備すべきなのか、中核医療機関と特殊・高次医療機関とのネットワーク形成を含めての議論を継続すべきである。2.奈良は心疾患に関する救急医療体性は良いが、消化器系の救急医療体制が課題である。3.プライマリーケア医の育成および福祉施設との連携を進めるべきである。4.中核医療機関を中心としたまちづくりを行い、その地域での経営面での収支均衡を目指すべきである。5.奈良の自然資源を活かして、ストレス問題・疲労問題の解決に適切に対処すべきである。6.病院運営にボランティアの支援が必要である。7.良県では、高齢者が地域で暮らし続けられるための実証実験を進めている。

*********************************************

次回予告
第3回医療・福祉分科会を下記のとおり開催いたします。ぜひ、ご参加ください。
日時:9月10日(土)14:00-17:30
会場:奈良県立大学3号館2階ホール
内容:医療・福祉政策への提案の概略まとめ

 

第2回医療・福祉分科会

第2回医療・福祉分科会を以下の通り開催致します。
多くの皆さんのご参加をお待ちしております。

 日時:8月6日(土)14:15-17:30 ※開始がいつもより15分遅れです。
 内容:医療体制・地域福祉について議論します。
 場所:奈良県立大学3号館2階ホール


 第2回医療・福祉分科会案内チラシ(pdf)
 

第1回医療・福祉分科会開催

今回は、行政スタッフから、奈良県の医療・福祉政策の現状を紹介してもらい、
今後の課題を議論しました。また、ストレス社会において心の健康を維持して
いくうえでの課題を把握しました。
今後は、医療・福祉のあり方、医療・福祉・地域社会等の連携などについての
議論を深めていきます。
皆さまの次回(8月6日)のご参加をお待ち致しております。

座長 村田武一郎

第1回医療・福祉分科会

 

第1回医療・福祉分科会

奈良の将来ビジョンをつくるフォーラム会員の皆さま いつもおせわになっております。
先日の総合フォーラムでは、今後の議論に必要な観点などを幅広く提示いただき、 感謝いたしております。

下記のとおり、第1回医療・福祉分科会を開催いたします。

 日時:6月25日(土)14:00-17:30 
 会場:奈良県立大学3号館2階ホール
 内容:行政からの情報提供をいただきながら、現状と課題を把握します。 
    (添付ファイルをご覧ください)

ぜひ、ご参画いただきたく、ご出席の連絡をいただけると幸いです。 
また、政策提案も、よろしくお願い致します。

分科会案内チラシ.doc(MS-WORD:73KB)
 

第2期医療・福祉分科会

医療・福祉分科会では以下をキーワードに論議していく予定です。

安心な医療体制/安心して子どもを生み・育てられる環境/盛年の活躍環境
高齢者介護/障害者福祉/高齢者の生活を守る

尚、座長・アドバイザーは選考中です。
決まり次第お知らせいたします。