座長:木村衛
1.はじめに
昨年(第1回-第3回)は、県担当者から農林水産業の現状と施策概要について説明を受け、意見交換を行って奈良県の農林水産業と政策に対する認識を深めました。
本年は、県内トップクラスの農林業経営者から事例報告・提案を伺って、奈良県における農林業の目指すべき方向・あるべき姿について大いに議論し、閉塞的な現状を打開しうる政策提案を導き出せればと考えています。
第4回分科会では、農業経営で素晴らしい実績を上げるとともに地域農業のリーダー
としても活躍されている4名の方々に、ご自身の経営や農業の将来への熱い思いを語っていただきました。
2.事例報告
「集落営農」寺田清男(大畑営農組合 元組合長):葛城市大畑
・いちご、ハーブを中心とした経営で大きな実績を上げる一方、大畑地区の素晴らし
い農地・農業を将来に残したいと集落営農組合の設立を提唱し、その運営を主導し
て県内のモデルとなる集落営農を定着させるなど模範的な地域リーダー。
「野菜」 東口義巳(有限会社とぐちファーム 取締役社長):大和郡山市白土町
・自家生産の野菜を“大和撫子野菜”と名付けてブランド化を図るとともに、特にト
マトの高付加価値化を目指して2,800?の水耕栽培施設を導入し、高級トマトとし
て消費市場から好評を得るなど野菜生産の企業化を実現した先駆的経営者。
「果樹」太津隆司(県果樹研究会 元会長、県指導農業士):五條市西吉野町赤松
・柿園約5haを経営する一方、全国第2位の柿生産量を誇る西吉野の地域リーダー。
数年後には全国一の銘柄産地としての地位を確立すべく尽力中。
「花き」松井正昭(農事組合法人五條園芸 代表理事):五條市黒駒町
・実兄がアメリカで経営する農園のノウハウを導入し、早くから花きを中心とした経
営で県内の先導的存在。流行を追う消費者指向や景気動向に大きく影響される花き
生産を安定軌道に乗せるべく奮闘中。
3.総合討論
討論に入る前に、ご多忙中のところを出席下さった井上源一氏(宇陀牧場代表:和牛
数百頭を飼育する奈良県を代表する畜産経営者)にも飛入りトークをお願いし、奈良県
を代表する農業経営者が勢揃いの中での意見交換になりました。
5名の方々は出席者からの質問や意見に対して、それぞれ自らの経営の現状や方針をはじめ長年の経験に基づく農業に対する考え方等を極めて自然にかつ明快に語られ、参加者一同大いに感銘を受けました。やはり一流の方のお話には蘊蓄があると感じました。
4.おわりに
次回(7月9日)の分科会は、新しい時代の林業経営のあり方を模索されている方々を招
いて、今後の奈良県林業のあり方等について熱い思いをお聴きし、大いに意見交換をし
たいと思っています。ご期待ください。